「どうやったら声優になれるのか?」という方法を模索すると、なんだか難しく考えてしまう人も多いんじゃないでしょうか?
「裏方」というイメージが強かった時代から、今ではメディアに登場する機会が増えた昨今、これからの声優に求められることってものすごくたくさんあると思うし、10年先は今とまったく違う形で成り立っているのかもしれないです。
そうやって考えるとハードルも競争も変化も激しい職業だなと思うし、なるためにはいろいろなテクニックやオーディションに受かるコツなんかを知りたいと思っちゃいますよね。
僕も以前、そうやって数多くのことを学校や養成所で学びながらここで紹介する内容を自分なりに試してきました。
結果的にプロダクションに所属でき、その間、現場を通じてそれまでに学んだことが活かされた経験がたくさんあったんです。
今回は、これまでに僕自身が学校や養成所で学んだことの中から、誰でも実践できて将来絶対に活かされるであろう「声優になる秘訣」をご紹介します。
そこまで言うと少し語弊があるかもですが(笑)、演技や原稿読みのテクニックというより人間力を磨く方法です。
なので、誰でも簡単に実践できて、これらは声優になる確率を確実に上げる方法だと僕は思ってます。
実際に学校や養成所で教えられたことなのでぜひ参考にしてみてください!
人付き合いの世界
「人間力を磨く方法」っていうとてもざっくりした説明ですが、もう少し詳しく言うとオーディションや現場での対人関係・処世術に近いかもしれないです。
例えば、「オーディションでは明るさ・笑顔・謙虚さが大切」みたいな感じで、ざっくりと語られることが多いですよね?
その他にも、「コミュニケーション能力を磨こう」「ハキハキ喋ろう」「想像力を養おう」とか。
こういうアドバイスを聞いても、いまいちどうしていいかわからないって人も多いはずだし、具体的に説明しているサイトも意外と少ない気がします。
だけど、人付き合いが上手な人は、声優になる上で実はかなり有利な要素でもあるんです。
みなさんの身近にも、明るい、素直、愛嬌があるって人がいるとは思うんですが、反対に、暗い、頑固、素っ気ない人もいるはずで、初対面の人が話しやすいと感じるのは前者だったりしますよね。
『NARUTO-ナルト-』三代目火影役や『水戸黄門』のナレーションでお馴染みの柴田秀勝さんの言葉にも、ちょうどこれに近い内容があったのでここで抜粋しておきます。
この世界は人間が人間を使います。
うまい、ヘタもあるけれど好みの人間を採用することも多い。
だから寡黙な人、人付き合いが苦手な人は向かないようですね。
実は社交術も、役者として成功する一つの要素。
だからといってプロデューサーやマネージャーにわざとらしいお世辞を言った覚えはありませんよ。
心のもち方一つで変わってくるものがあるということです。
『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』p.178(柴田秀勝) 出版:主婦の友社
ただがむしゃらに頑張っても成果が出ないことってどんな場面でもあったりしますよね。
誰でもこれまでに「なんであの人が…」って感じる瞬間は少なからずあったと思うけれど、芸能界でも結局のところ機械やAIではなく人が人を選んでいるということを心に留めておくことも大事で、人間味や親近感を与えられる人ほどすごく有利なんじゃないかと僕は思います。
そして、人付き合いがうまいというのは外面だけでなく、その根底には「誠実」であることが大切なんだと思うし、今人付き合いが苦手だなと感じる人も誠実であることを忘れずに、努力と心の持ち方一つできっと変れられるはずです。
なので、今回はこのあたりを僕なりにおすすめの練習や試行法として詳しくご紹介していきますね!
声優になるためのおすすめの秘訣
1回のチャンスを大切に
現在通っている学校や養成所で受けるレッスンもそうだけれど、まずは一回一回のチャンスを大切にしてみてください。
慣れてしまうと、どうしてもその一回がおざなりになってしまいなんとなくで毎日を過ごしてしまいがちですよね。
でも、たとえ一回のレッスンでも、お金を払っている以上それはとても貴重な時間なはずです。
「一言一句漏らさない」「一挙手一投足を見逃さない」
レッスンのうちからそういったクセをつけておくと、現場での収録やVチェックや受け答えなど、些細なことでも集中力切らさず維持できるだけでなく、今度はお金をもらう立場としてそのありがたみもわかってくるはずです。
返事は「はい」1回
学校や養成所なんかでよくあることなんですが、ダメ出しをされたときに言い訳をする人がいます。
けれど、これは目上の人からしたらイラっとすること間違いないです。
この返事の仕方一つとってもその人の人柄が出ちゃうように、現場でこれをやってしまうと取り返しのつかないことになりかねませんよね。
自分なりの考えやプライドを持つことは大切だけれど、火に油を注ぐような言葉になる場合もあります。
心の中でグッと堪えて、アドバイスや指摘には素直に「はい!」と返事をすることを心がけてみてください。
素直であれば、周りから気にかけてもらえる機会もきっと増えてくるはずです。
発信する
たくさんの競争相手がいる中で、自分自身が少しでもアピールするには普段の服装や行動を気にかけてみてください。
服装であれば、新人らしく清潔感があって明るめの色合いの中から、自分の声やキャラクターにマッチしたものをチョイスするとより印象的になるし、学校や養成所では、進んで手をあげてチャレンジできる機会が多いので、フットワークの軽さや積極的な姿勢がある人ほど相手の目に留まりやすくなることは間違いないです。
昔、ある制作会社の方に言われたことですが、何事も”発信しなければ存在する意味がない”ってこと。
もし失敗して恥をかいたとしても、自分の経験値になるだけでなく、その勇気を評価してくれる人も必ずいるはずです!
見聞を広める
事務所に入れば、これまでのコミュニティとはまったく別の世界が広がります。
アルバイトしたことがある人なら似たような経験があるかもしれないけれど、学生から社会人になると幅広い年齢層の人とコミュニケーションを取る機会が増えてきますよね。
とくに学校や養成所だと、同じ世代間の中で趣味や目標などを共有しやすいんですが、外部の人と関わるとなると自分が興味のある知識だけでは難しい場面も多々あるんです。
本・新聞・ニュースなど、浅くでも良いので日頃からアンテナを張ってたくさんの情報を蓄えておくとコミュニケーションの話題になるだけでなく、芝居の引き出しにもなるのでおすすめです。
また、僕も実際にあったことなんですが、現場では「あの役者さんみたいにお願いします」という感じで例えてディレクションが入ることがあります。
昨今の流行りだけでなく、現場スタッフ、共演者はどんな世代か?を考えながら知識をつけておくこともちょっとしたコツだったりしますよ!
きどにたてかけし衣食住
抽象的なことばかりになってもいけないので、以下で会話のきっかけ作りにおすすめな方法を紹介します。
会話の引き出し方で悩む人は、以下の「きどにたてかけし衣食住」の法則を覚えておくと困った時に役立ちますよ!
- き=季節
- ど=道楽
- に=ニュース
- た=旅
- て=テレビ番組
- か=家族・家庭
- け=健康
- し=仕事
- 衣=衣服
- 食=食べ物
- 住=住居
特に、ニュース(時事ネタ)、仕事(内容やスケジュール)、衣服(服装や髪型)に関しては割と引き出しやすい部類だし、こちらから切り出せば相手もプラスαで聞き返してくれるかもしれませんよね。
それともう一つポイントは、名前や顔はもちろん、このときの会話の内容や相手の情報も覚えておくと次に会っても役立つのでおすすめですよ!
表情・姿勢の改善
オーディションなどで重要とされるのが印象アップ術ですが、その代表的なのが表情や姿勢を改善すること。
声優学校でもこうしたブラッシュアップのカリキュラムが用意されていたりするけれど、これらは様々なシーンで活きてくることなので魅力度アップにぜひおすすめしたいトレーニング。
普段、表情や姿勢が気になる人はぜひ試してみてくださいね。
また、可能であれば鏡を使いながら確認してみると違いがわかりやすくてさらに効果的です!
- 口を閉じた状態から「い」の形にする
- 同時に笑顔を作るように口角・頰を上げる
- そのまま5秒キープ
- 「い」の状態から「う」の形にする
- 口輪筋を使って唇を前に突き出す
- そのまま5秒キープ
- 顎を引く
- 両足を肩幅くらいに開く
- 後頭部をつける
- 肩甲骨をつける
- お尻をつける
- かかとをつける
- かかとから頭頂部へ一本の棒を通す感覚
表情筋を鍛える方法、その他声優志望者におすすめの自宅でできるトレーニングは以下の記事でも紹介してます!
言葉を明瞭にする「母音」改善法
日頃から、「ボソボソ喋り」や「トーンが暗い」と指摘される人に効果的でおすすめなのが母音「あ行」のトレーニング。
僕も昔から「ボソボソ喋り」のクセがあるんですが(笑)、それでも母音を磨いたことで以前よりはかなり喋りも明るくなったなあと実感できます。
なので、僕の経験から会話が明瞭になると自信がついて性格もかなり前向きというか明るくなれるんですよね。
そもそもなぜ母音がおすすめなのかというと、「a,i,u,e,o」のいづれかの音は「ん」を除くすべての音に含まれており、舌や歯や唇を用いて出す子音と違って口や喉といった発声・滑舌の根本的な部分が大きく改善できるからです。
以下の記事で詳しく解説しているので、今まで以上に「あ行」をしっかり発音することをぜひ心がけてみてください。
言葉に心を込める
声優やナレーターといえば言葉を扱う仕事ですよね。
でも、日常の中からそうした「言葉」に意識を向ける機会って意外と少ないんじゃないでしょうか?
僕も昔セリフやナレーションにおいて「生きた言葉を使いなさい」と言われ、最初はどうしていいかわからなかったんですが、その解決方法は日常生活の中にヒントがあると思うんです。
挨拶やお礼、その他にも自分の名前を名乗る時や思いを伝えるときなど、些細なことだけれどそうした一言に心を込めることで言葉に意思が入ってくるし、逆に心が通っていない言葉は、なんだかボリュームやニュアンスが味気ないし語尾なんかも投げやりな印象を受けちゃうんですよね。
心の底から嬉しい楽しい悲しい怒りの感情で発したときの言葉は、きっと心がこもった芯のあるものになっていて。そのときの体の状態や息づかいや感情をストックしておくと必ず「生きた言葉」のヒントになるはずです。
『らんま2/1』天道かすみ役、『キャプテン翼』大空翼役で有名な井上喜久子さんの言葉にはとても共感です。
例えば家族に「おはよう」と言うときに、ただ口先だけで挨拶するのと、今日も一日元気に朝を迎えられて幸せだねっていう気持ちを込めて言う「おはよう」は、ぜんぜん違うじゃないですか。
「ありがとう」でも「おいしかった」でも、そうやって愛情をたっぷり込めて言うこと。
日常生活の中で起こるいいことも悪いことも、しっかり受け止めていくこと。そういう経験を、いつかお芝居に生かしていけたらいいですね。
『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』p.153(井上喜久子) 出版:主婦の友社
まとめ
というわけで、今回は僕がおすすめしたい簡単にできる「声優になる秘訣」をご紹介しました。
これらは些細なことですが、日常生活の中ですぐに実践できて積み重ねると大きな成果につながるはずです。
そして、目標に近づくだけでなく今以上に魅力的な自分へと変わることができるのでぜひ試してみてください!
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