朗読に挑戦したいけど、いざ探すとなるとたくさんの作品の中からどれを選ぼうか悩みますよね？
今回は、朗読経験のある筆者が、著作権フリー・無料で読める『青空文庫』から、朗読入門におすすめの作品を厳選してみました！
はじめてでも、読みやすく・わかりやすいものを中心に読みごたえのある短編作品を集めたのでぜひ参考にしてみてください！
作品選びのポイント
- 読みやすさ
- わかりやすさ
- 読みごたえ
- 内容の短さ
青空文庫だけに絞っても実に様々な作品がありますが、朗読入門となるとやはり”自分が読みやすい作品”から検討してみるのがおすすめです。
また、個人的な練習題材として使うのか？多くの人に聞いてもらうのか？など、目的によっても多少異なります。
有名作品だと多くの人が興味を持ちやすいですし、はじめて聞く作品でもわかりやすい内容は最後まで聞いてもらえることが多かったりしますよね。
具体的なポイントを以下にまとめてみたので、ぜひこちらも参考にしてみてください！
今回はそうしたコンセプトに適した、読み手が読みやすく聞き手がわかりやすい短編ものの中から、読みごたえのある作品を交えてご紹介していきます！
朗読入門におすすめの『青空文庫』作品
『もしも、あめのかはりに』村山籌子
- 読みやすさ ：★★★★★
- わかりやすさ：★★★★★
- 読みごたえ ：★★☆☆☆
- 内容の短さ ：★★★★★
『もしも、あめのかはりに』は、昭和の作家・村山籌子の短編童話。
タイトルの言葉からはじまる短い文章の中には、自身の空想がふんだんに詰め込まれています。
一文一文たっぷりと情景を描いて朗読すると、とても不思議な世界が表現できるはず。
朗読をはじめる方にぴったりの最初の一冊です！
『明日』新美南吉
- 読みやすさ ：★★★★★
- わかりやすさ：★★★★☆
- 読みごたえ ：★★☆☆☆
- 内容の短さ ：★★★★★
童話作家として有名な新美南吉の短編詩。
あまり馴染みのない方も多いかもしれませんが、一度聞いただけで印象に残る清々しい文章はとても簡潔な内容です。
明るくまっすぐな気持ちで読みたい、そんな方におすすめな作品です！
『空の美』宮本百合子
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★☆
- 読みごたえ ：★★★☆☆
- 内容の短さ ：★★★★★
都会の空の美しさを巧みに表現した宮本百合子の『空の美』。
高くそびえる建造物や広告塔・アンテナなど、それらは空を演出するためのアクセントでありフレームにもなりえるということ。
鬱屈とした都会に広がる空をアートに変えるような作品です。
『雲(雲)』山村暮鳥
- 読みやすさ ：★★★★★
- わかりやすさ：★★★★☆
- 読みごたえ ：★★★☆☆
- 内容の短さ ：★★★★★
「おうい雲よ」の一文がなんとも印象的な、詩人・山村暮鳥の『雲』。
空を流れる儚い雲にすら自らの思いを託した作者の心情を読み取ると、とても奥深い朗読になるおすすめの作品です。
『レモン哀歌(智恵子抄)』高村光太郎
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★☆
- 読みごたえ ：★★★★★
- 内容の短さ ：★★★★☆
詩人・高村光太郎の代表作『智恵子抄』は、統合失調症の妻・智恵子との半生を生々しくも暖かく綴った詩集。
時系列で読むと、妻の病状悪化に比例して作者の心持ちの様子を汲み取ることができます。
「あどけない話」「風にのる智恵子」など印象的なものが数多くありますが、死の間際を描いた「レモン哀歌」は多くの人の心に残る名作。
妻の一挙手一投足や微かな表情の変化、そして死に至るまで…。
一文一文のみならず、いわゆる”行間を読む”ことで感じる心理変化はとても朗読しがいのある作品です！
『積木の町』スティーブンソン
- 読みやすさ ：★★★★★
- わかりやすさ：★★★★★
- 読みごたえ ：★★★☆☆
- 内容の短さ ：★★★★☆
『宝島』の代表作で有名なスコットランドの作家・スティーブンソンの積み木を題材にした童話作品。
子どもが大好きな積み木遊びですが、それをダイナミックかつファンタジーに描いた展開は、大人が読んでもどこかノスタルジックで印象的な内容に仕上がっています。
前半の無邪気な子ども心、後半の俯瞰した大人心を表現するとより作品のメリハリが効いてくるはずです！
『早春散歩』中原中也
- 読みやすさ ：★★★☆☆
- わかりやすさ：★★☆☆☆
- 読みごたえ ：★★★★★
- 内容の短さ ：★★★★☆
早春の情景と、その中で抱える憂鬱な感情の対比が印象的な中原中也の『早春散歩』。
抽象的な言い回しと文中の「我々の心を引千切り」などから、読者それぞれの解釈ができる別れの詩ではないでしょうか。
『春の詩集』河井酔茗
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★☆
- 読みごたえ ：★★★★☆
- 内容の短さ ：★★★★☆
明治〜昭和中期に渡って活躍した詩人・河井酔茗の名作。
心の奥底にしまう淡い青春を掘り起こすような、優しくも鋭い言葉の数々は思わず息を呑みたくなりますね。
語りかけることでより一層魅力が増す。
そんな、多くの大人に刺さるおすすめの作品です。
『がちゃがちゃ』夢野久作
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★★
- 読みごたえ ：★★★☆☆
- 内容の短さ ：★★★☆☆
三大奇書の一つ『ドグラ・マグナ』や『少女地獄』の作者として有名な夢野久作が手がけた童話。
猟奇的な他作品とは異なる、滑稽な轡虫(クツワムシ)が登場するお話です。
個性的な虫たちのファンタジーな世界…、そこから一変するラストのオチは、ちょっぴり夢野久作らしい秀逸なストーリー！
『去年の木』新美南吉
- 読みやすさ ：★★★★★
- わかりやすさ：★★★★★
- 読みごたえ ：★★★☆☆
- 内容の短さ ：★★★☆☆
こちらも新美南吉の短編童話作品。
小鳥の視点で物語が展開していくストーリーはとてもハートフルな内容ですが、人間への風刺も込められており教訓にもなるお話。
読みやすい文章とシンプルなお話なので朗読入門にも最適です！
『気絶人形』原民喜
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★★
- 読みごたえ ：★★☆☆☆
- 内容の短さ ：★★★☆☆
原民喜の『気絶人形』は、普段なにげなく遊んでいるおもちゃの目線で描かれた作品。
くるくる回りながらも我慢し続ける人形から「頑張れば変われる」ことを教えてもらえる心温まる物語は、ぜひ子どもにも聞かせてあげたい一冊です。
『幸福』島崎藤村
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★★
- 読みごたえ ：★★★☆☆
- 内容の短さ ：★★★☆☆
誰でも幸福が欲しい、だけど貧乏なやつを受け入れたくはない。
島崎藤村が、「幸福」を擬人化して描く人間の本質に向き合った作品です。
『みみず先生の歌』村山籌子
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★☆
- 読みごたえ ：★★★★☆
- 内容の短さ ：★★★☆☆
道端のどこにでもいるような小さな生き物「みみず」を題材にした村山籌子の『みみず先生の歌』。
一見童話っぽい書き出しですが、力強くリアルに綴られるみみずの言葉の数々に命の尊さを感じてしまいますね。
自虐満載な最後の一文にも親近感が湧いてきます！
『マッチ売りの少女』アンデルセン
- 読みやすさ ：★★★★★
- わかりやすさ：★★★★★
- 読みごたえ ：★★★★☆
- 内容の短さ ：★★★☆☆
世界中で親しまれているアンデルセン童話の人気作。
誰にでもわかりやすい内容に仕上がっており、読み手としても感情移入しやすい内容ですよね！
一見すると幻想的で悲しいお話ですが、幸せのあり方は人それぞれであるということを問いかけています。
様々な視点から読むことで表現も変わる、そんな何度も読み返したくなる作品。
『十年後のラジオ界』海野十三
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★☆☆
- 読みごたえ ：★★★★☆
- 内容の短さ ：★★★☆☆
SF作家として有名な海野十三が、1929年(昭和4年)に発表した短編小説。
ラジオ全盛の昭和初期において、テレビの登場など、かなり現実的な予想が含まれた未来世界は思わず読み進めたくなりますね。
終始、他愛もない二人の会話のやり取りから、ラストは壮大な脅し文句がなんとも滑稽な作品です！
『失敗園』太宰治
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★☆
- 読みごたえ ：★★★☆☆
- 内容の短さ ：★★★☆☆
『走れメロス』『斜陽』などを残した昭和初期の文豪・太宰治が、自宅の庭の不出来な菜園からヒントを得た短編小説『失敗園』。
野菜たちの視点で進む会話の内容は、発育の不満、夫婦への指摘、さらには日常生活に対する愚痴などなど…。
人間味あふれるやり取りは、どこか親近感を覚えるような滑稽話。
個性的なキャラクターの演じ分け、軽妙なテンポで展開していく語り口やシンプルな内容は、はじめての朗読にもぴったりの一冊です！
『手袋を買いに』新美南吉
- 読みやすさ ：★★★★★
- わかりやすさ：★★★★★
- 読みごたえ ：★★★★☆
- 内容の短さ ：★★☆☆☆
童話作家・新美南吉の代表作『手袋を買いに』は、大人から子どもまで楽しめる朗読の定番作品！
もの知りで心配性な母ぎつねと無知で無邪気な子ぎつね、それぞれの対比が動物の視点でファンタジーに描かれています。
親子愛はもとより、思いやりや固定観念について考えさせられるお話ですね。
『しっかり者のすずの兵隊』アンデルセン
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★☆
- 読みごたえ ：★★★★☆
- 内容の短さ ：★★☆☆☆
すず(錫)でできた片足の兵隊と踊り子人形の悲運な恋愛物語。
「アンデルセン童話」として数々の名作を残したデンマーク作家・アンデルセンの初期の作品です。
ロマンチックなファンタジー作品でありながら、人間の傲慢さを所々に表現した内容は様々な視点から読み返したくなりますね。
朗読入門としても程よいボリュームで、読みごたえのあるイチオシの海外童話です！
『注文の多い料理店』宮沢賢治
- 読みやすさ ：★★★★☆
- わかりやすさ：★★★★☆
- 読みごたえ ：★★★★★
- 内容の短さ ：★★☆☆☆
日本を代表する童話作家・宮沢賢治の名作『注文の多い料理店』。
このお話を読んで、「”注文の多い”ってそういうことか！」と驚いた人もたくさんいるはずです。
子ども向けの読み聞かせとしても楽しめる作品ですが、人間社会への風刺的メッセージも込められており、探っていくととても奥が深い作品。
『蜜柑』芥川龍之介
- 読みやすさ ：★★★☆☆
- わかりやすさ：★★★☆☆
- 読みごたえ ：★★★★★
- 内容の短さ ：★★☆☆☆
文豪・芥川龍之介が自身の体験を描いたとされる『蜜柑』。
汽車の中、鬱屈した「私」の前に現れた一人の「娘」との出来事を描いた短編小説。
物語の最後、娘に対する印象の変化がオレンジの夕暮れに放たれた蜜柑によって色鮮やかに表現されており、それぞれの心情を深掘りするととても読みごたえのある内容です！
やや難しい言い回しが多いですが、文量のある練習用題材としてチャレンジしてみるのもおすすめです！
「朗読」参考サイト
はじめて朗読をする方にとって参考になるサイトが「青空朗読」です。
音声を通して青空文庫掲載作品の朗読を試聴できるので、ぜひ読む前に一度検索してみてください！
「朗読」上達に向けたおすすめ記事
作品が決まったところで、実際に朗読を始めるにあたってどんなポイントに気をつけていいかわからない？という人も多いかもしれません。
そこで、以下の記事では僕なりの解説で、本の読み方や朗読上達方法などを詳しく紹介しています。
まとめ
というわけで、今回は朗読入門におすすめしたい青空文庫作品をご紹介しました！
作品選びは悩ましいものですが、気になった一冊があればまずはたくさん朗読してみることをおすすめします。
その他にも、朗読向けの記事をご紹介しているので、ぜひお気に入りの作品を見つけてくださいね！
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