これから朗読をはじめてみようと思う人にとって作品選びはなかなか難しいものですよね?
「こんな作品が読みたい!」というイメージがあっても自分に合うものが見つからないケースが多いのではないでしょうか?
今回は、声の仕事をしながらこれまでに多くの作品を朗読してきた筆者が、ぜひおすすめしたい入門向け童話作品をご紹介します!
メジャーなものから、意外と知られていないコアな作品、読みやすくて本格的な作品から、聞き手に飽きない絵本など…。
幅広くピックアップしてみたので、ぜひ作品選びに役立ててみてくださいね!
童話作品の選び方【入門編】
どんな作品から選べばいいか悩む方は、以下のポイントを参考に検討してみてください。
- 旧字体ではなく現代仮名遣いの作品
- 朗読時間の短い作品
- 子供がわかりやすいストーリー
童話といえど作品は無数に存在しますよね。
特に海外ものだと、当時の文化・歴史感だけでなく翻訳の仕方によっては聞き手にとって理解しにくい文章構成だったりするので、最初はなるべく一文一文がシンプルで簡潔な作品から選ぶのがおすすめです。
また、自身が知っている童話やイラスト付きのものを選んでみるとイメージを伝えやすく感情移入もしやすいはずです。
というわけで、以下で朗読入門におすすめの読みやすく・聞きやすい童話作品をセレクトしてみました!
気になった作品からしっくりくるものを選んでみてください。
朗読入門におすすめの童話作品【日本作家】
『なんだろうなんだろう』ヨシタケシンスケ
「友だちってなんだろう?」
「しあわせってなんだろう?」
日常のちょっとした疑問を考えさせられるヨシタケシンスケの人気絵本作品。
哲学的で難しそうと思うかもしれませんが、マンガのような会話形式で進んでいくのでとても読みやすく、ポップで柔らかいイラストから読みきかせとしても活用できます。
朗読の際は、聞き手に考えてもらえるようにゆっくり問いかけるように読み進めるといいかもしれません。
『がちゃがちゃ』夢野久作
三大奇書の一つ『ドグラ・マグナ』や『少女地獄』の作者として有名な夢野久作。
猟奇的な作品のイメージが強いですが、こちらは子ども向けで、滑稽な轡虫(クツワムシ)のお話。
短文でありながら登場する虫たちが個性的なので、初見でも読みやすく聴きやすい作品です。
ファンタジーな鈴虫と轡虫の世界と現実的なオチのメリハリがつくと、より滑稽さが出てくるのでおすすめ。
『あし』新美南吉
『ごん狐』の作者としてご存知の方も多い新美南吉の作品には童話ものが多く、この『あし』はとてもシンプルな内容で読みやすい作品です。
こちらも短いお話ですが、「本当に足が盗まれたら?!」と想像しながら読んでみると、案外スケールの大きな物語になるのではないでしょうか?
『去年の木』新美南吉
同じく新美南吉さんの短編童話作品。
小鳥の視点で物語が展開していくストーリーはとてもハートフルな内容ですが、人間への風刺も込められており教訓にもなるお話です。
『パンどろぼう』柴田ケイコ
「おれはパンどろぼう。おいしいパンをさがしもとめるおおどろぼうさ。」
泥棒なのになぜか憎めないキャラクターとシュールなイラストから子どもウケ抜群。
「第11回リブロ絵本大賞」で大賞を受賞した柴田ケイコの人気作。
ハラハラドキドキ楽しいお話ですが、ラストの展開には思わずほっこりしてしまいます。
まずは読みきかせから挑戦したい人や、イラストを使った楽しい作品を探している人にはぜひおすすめです!
『でこぼこホットケーキ』よしだあつこ
大好きなおばあちゃんのためにホットケーキを作ることにしたハリネズミのププとポポ。
届ける間にだんだんと小さくなってしまうホットケーキですが、最後はハッピーエンドな心温まるお話。
柔らかいイラストが印象的な絵本は、朗読はもちろん読みきかせにも最適です。
ホットケーキの歌がアクセントになり、最後まで子どもが飽きない良作です。
『モンテロッソのピンクの壁』江國香織
「モンテロッソへいかなくちゃ! 」
寝ることが大好きなうす茶色の猫・ハスカップは、夢に出てきたピンクの壁がある場所を求めて旅をします。
ページ量はそれなりにあるものの、文章自体は少なく読みやすい作品。
また、ページの見開きごとに挿入されている淡くカラフルなイラストが印象的ですが、物語全体を通して読み進めていくと人生感や幸福、本当の自由とは何か?について考えさせられる奥の深い作品です。
『モンテロッソのピンクの壁』など30余の短編童話を収録した理論社から出版の単行本もおすすめ!
『霧のむこうのふしぎな町』柏葉幸子
『千と千尋の神隠し』にも影響を与えたとされる柏葉幸子のファンタジー作品。
知らない町で出会う知らない人たちとの交流を淡々と描いた物語は、少しの怖さも相まって思わず先が気になってしまう内容。
小学生高学年以上を対象に聞かせたい場合や、ボリュームのある作品を探している人におすすめです。
『注文の多い料理店』宮沢賢治
宮沢賢治の代表作ともいえる『注文の多い料理店』。
童話としても楽しめる作品ですが、人間社会への風刺など作者の心象を探っていくと奥が深く、練習用題材としてもかなり読みごたえのある一冊です。
朗読入門におすすめの童話作品【海外作家】
『積木の町』スティーブンソン
スコットランドの小説家で『宝島』の代表作で有名なロバート・ルイス・スティーブンソン。
子どもにとって親近感のある積み木遊びを、ダイナミックかつファンタジーに表現した短編童話。
朗読の際は、前半の無邪気な子ども心、後半の俯瞰した大人心を表現するとより作品のメリハリが効いてくるのではないでしょうか。
『きたかぜとたいよう』バーナデット・ワッツ
旅人の着ている服を脱がせることができた方が勝ち。
ときには、力ずくではできないこともあるという有名なイソップ童話ですよね。
すでに知っている方が多いと思うので練習の題材としても最適です。
また、短い上に登場人物の立ち位置もはっきりしているので読みきかせにもおすすめです。
『しっかり者のすずの兵隊』アンデルセン
「アンデルセン童話」として数々の名作を残したデンマーク作家・アンデルセンの初期の作品。
すず(錫)でできた片足の兵隊と踊り子人形の悲運な恋愛物語。
ロマンチックなファンタジー作品でありながら、人間の傲慢さを所々に表現した内容は様々な視点から読み返したくなります。
朗読入門としても程よいボリュームで、読みごたえのあるイチオシの海外童話です!
『マッチうりの女の子』アンデルセン
こちらも「アンデルセン童話」の名作。
誰にでもわかりやすい内容に仕上がっており、読み手としても感情移入しやすい作品だと思います。
一見するととても幻想的で悲しいお話に見えますが、幸せのあり方は人それぞれであるということ。
様々な視点から読むことで表現の仕方も変わってくるはずですなので、何度も読み返したくなる作品ですよね。
『ずーっと ずっと だいすきだよ』ハンス・ウィルヘルム
愛犬・エルフィーと飼い主・男の子の物語。
淡々と男の子の回想形式で進んでいく心温まるストーリーですが、「思いを伝える」ことの大切さ読者に訴えかける意味も込められています。
男の子の語りがほとんどで、とてもシンプルかつストレートな文章なので入門にはぴったりの作品です。
参考サイト
はじめて朗読をする方にとっておすすめの参考サイトが「青空朗読」。
こちらは青空文庫に掲載中のいくつかの作品の朗読が視聴可能となっているため、ご自身で読んでみたい作品をぜひ一度チェックしてみてくださいね。
まとめ
今回は、朗読入門におすすめの童話作品についてご紹介しました。
比較的読みやすいものから誰でも知っている名作、聞き手が楽しめるものを中心にセレクトしてみましたが、上記の作品以外で自分の思い入れがある童話や挑戦したいお気に入りの作品があれば、ぜひそちらから朗読してみてください。
作品を楽しめることが、きっと自分自身のモチベーションにも繋がるはずです!
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