鼻濁音とは?基礎知識から発音のポイントまでをわかりやすく解説!

練習法

みなさんは、「鼻濁音(びだくおん)」という言葉をご存知でしょうか?

一般的にはあまり馴染みのない言葉ですが、声優やナレーター、アナウンサーの学校では必ずと言っていいほど指摘される発音方法ですよね。

僕自身、声優学校に通っていた頃に講師から「最近の若い子は鼻濁音が使えない子が多いからね〜」なんてことを言われたのを覚えてます。笑

そう、簡単なようだけど苦労する人もいるのが鼻濁音なんです…。

この記事を読んでいる方の中にも、訛りや濁音で喋るクセが抜けずに困っている人も多いはず。

というわけで、今回は基礎知識やメリット、さらには発音のコツまで、鼻濁音に関する疑問を解決するためのポイントを詳しくご紹介していきたいと思います!

正しい鼻濁音を身につけるだけで言葉の印象がアップするのでぜひ試してみてくださいね!

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鼻濁音とは?

「鼻濁音」は、な行やま行で使われる鼻音に近い「軟口蓋鼻音(なんこうがいびおん)」に属する発音方法です。

別名「ガ行鼻音」とも言われ、一般的な言語表記は「か゚、き゚、く゚、け゚、こ゚」、アクセント表記では「ŋ」。

そのため、舌の腹を軟口蓋奥にあてるなど「が行」と似た部分もありますが、”鼻へ抜いて発音する”のが大きな違いになります。

発音については後述しますが、「が」(g+a)の音に「な行」の子音(n)に近い発音(ŋ)を加えて、「んが(ŋga)」と発音するイメージ。(※「ん・が」とそのまま発音しないように注意!)

時代とともに使う人も徐々に薄れてきている印象ですが、東日本を中心にか゚行音の混ざる方言が見られたり、アナウンサーや声優など声を生業とする業界では、まだまだ鼻濁音の教育が徹底して行われているのも事実です。

  • 鼻濁音:軟口蓋鼻音
  • 言語表記:か゚、き゚、く゚、け゚、こ゚
  • アクセント表記:ŋ (軟口蓋鼻音)
か゚行音の混ざる方言地域
  • 東北地方
  • 北陸・東海地方
  • 近畿地方

鼻濁音のメリット

「そもそも鼻濁音って重要なの?」と感じる方もいるかもしれませんが、”音の違い”を細かく探っていけばいくほど鼻濁音の大切さがわかってくると思います。

例えば、テレビやラジオを聴いていると、「この人の話は聴きやすいなあ」「喋り方が綺麗だなあ」と感じた経験は誰にでもありますよね?

アナウンサーやナレーターといった方々がわかりやすいですが、僕の場合、年配の女優さんにこういった印象を受けることが多いです。

もちろん、声や滑舌、言葉遣いにも見た目の挙措からそういった印象を受けるかもしれませんが、しっかり聞いてみるとほとんどの人が鼻濁音を使って喋っていたりするんですよね。

発声・滑舌に比べれば細かいことですが、これ一つをマスターするだけで、話し方にトゲトゲしさや荒さがなくなり、”品”や”柔らかさ”がプラスされるのでみなさんの話し方の印象もきっと改善されるはずですよ!

発音のコツ

それでは、実際に鼻濁音を使えるようになるためのポイントを解説していきます!

口の開きはいたってシンプルで、普段喋る「が、ぎ、ぐ、げ、ご」と同じ。

舌の腹を軟口蓋に触れるようにして発音しますが、発音時は「な行」に近い動かし方になります。

(※ちなみに、軟口蓋とは口内上部の凹んだそのさらに奥にある軟らかい部分を指します。)

そのため、「が」を発音するときのようにブレスを強くして舌をはじいてしまわないこと。鼻濁音は破裂音ではないため、ブレスや舌はとにかく柔らかく動かすことを意識してみてください。舌奥+軟口蓋によって閉じていることでブレスは自然と鼻へと抜けやすくなります!

鼻濁音を喋るコツ
  1. 「が」を発音するときの舌のポジションに構える
  2. 舌奥を軟口蓋からゆっくりと離すように小さく「んぁ」と発音
  3. 少しずつ「んぁ」から「んが」と発音していく
  • ブレスを強くして舌をはじかない(“が”と発音しない)

鼻濁音チェック法

鼻濁音が出来ているかを確認したいときのチェック方法は”鼻をつまむ”ことです。

本来、鼻をつまみながら鼻濁音を発音しようとして”音が出ない”のであれば出来ている証拠!

逆に、「が、ぎ、ぐ、げ、ご」と声が出ていれば出来ていないことになります。

先ほど挙げたように、舌と軟口蓋で気道を鼻へ向けてやることが鼻濁音のコツなので、ぜひこれらを繰り返しチェレンジしてみてくださいね!

  • 鼻をつまんで”発音できない”=鼻濁音
  • 鼻をつまんで”発音できる”=濁音

「鼻濁音」OKな言語・NGな言語

鼻濁音ができても、それをうまく使いこなせないと意味がありません。

どんな場面で鼻濁音を使うべきか?

最後に、鼻濁音化してもよいケースとそうでないケースをご紹介していきます。

少々ややこしいですが、こうしたパターンから鼻濁音の出しどころがわかると、発音したときにとても良いアクセントになって聞こえてくるはずです!

OK
  • 第二音節以降のガ行音:午後(ごこ゚)、授業(じゅき゚ょう)、刺激(しけ゚き)
  • 連濁:氷菓子(こおりか゚し=氷+菓子)、心変わり(こころか゚わり=心+変わる)
  • 助詞・接続詞:私か゚、ところか゚、だか゚
  • 熟語化した数詞(五):七五三(しちこ゚さん)、十五夜(じゅうこ゚や)
NG
  • 第一音節のガ行音:愚痴(ち)、外国(いこく)
  • 接頭語後の第一音節:お行儀(おょうき゚)、新劇場(しんきじょう)
  • 複合語:高等学校(こうとうっこう)、衆議院議員(しゅうき゚いんいん)
  • 外来語:窓ラス、ゴー
  • 擬音語・擬態語:ゴロロ、ぐら
  • 数詞(五):十五回(じゅうかい)、午後五時(ごこ゚じ)

※例外として鼻濁音OKなもの

  • 複合語(馴染み深い言語):小学校(しょうか゚っこう)、中学校(ちゅうか゚っこう)など
  • 外来語(馴染み深い言語・「ン」に続く音節):イキ゚リス、ソンク゚など

まとめ

というわけで、今回は「鼻濁音」についてご紹介しました!

近年、発音できる人は徐々に少なくなっていますが、鼻濁音が日本語の美しさをより引き出してくれることは間違いありませんよね。

発音方法や使い方など、ポイントを押さえてしっかりマスター出来れば、よりみなさんの言葉の印象もアップするはずなのでぜひチャレンジしてみてください!

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