「カフボックス」というのをご存知でしょうか?
声優・ナレーター、そしてアナウンサーなど、声の仕事をする方には馴染み深いものですが、一般的にはあまり知られていないものだったりするかもしれません。
ですが、これからそういった仕事を目指す方にとっては、ナレーションやボイスオーバーにゲームの収録など、こうした場面ではマイクの傍らにあって頻繁に使うことがあると思うのでぜひ知っておくべき機材でもあるんです。
というわけで、今回はどこの収録スタジオ(MA)にも置いてあるほど収録時には欠かせないカフボックスの基礎知識と使い方についてご紹介します!
カフボックスとは?
通称「カフ」と呼ばれ、マイクとプリアンプの間に接続し、収録の際にコンデンサーマイクなどのレベルやON/OFFをプレイヤーの手元で調節できる機材。
スタジオでは収録ブースとミキサールームに分かれるため、本来ならプレイヤー側でマイクのON/OFFができないんですが、このカフを置くことでプレイヤー側でもボリュームスイッチの操作ができてしまうんです。
使い方については後述しますが、これをOFFにすることでマイクから拾った音がミキサールームには聴こえない仕組みに。
プレイヤーからしても迷惑をかけないし、ディレクターやミキサーにとっても不快にならず作業が捗るということで、今ではほとんどのスタジオで見かけるくらい両者にとってあるととても助かるものなんです。
基本的にプレイヤーの手元で操作できる場所にあるので、ブースに入ったら最初にカフを確認しておきましょう!
カフボックスの基礎知識
【CURRENT AF124】
①フェーダー
②ON/OFFスイッチ(タッチ式)
③RTB(リターントークバック)
④キューランプ
⑤ヘッドホン(ステレオ)/イヤホン(モノ)入力
⑥モニターレベル
- 収録時にはON(フェーダーを上げきった)の状態
- 収録以外はOFF(フェーダーを下げきった)の状態
- ミキサールームとのやりとりはRTBスイッチが便利
- キューランプの点滅=喋り出しの合図
- モニターレベルで聞こえやすいボリューム調節をしておく
カフボックスの種類
カフボックスの種類にもいろいろありますが、プレイヤー視点で大きく分けるとフェーダータイプとスイッチタイプの2種類になり、先ほどのようなフェーダーとスイッチ両方を備えた便利なツインタイプもあります。
入力のON/OFF操作のみのもっともシンプルなタイプのカフ。
ただ、フェーダータイプなのでしっかり0と100を意識して上げ下げしないとボリュームが中途半端になるので注意です。
また、キューランプなどはこれとは別に設置されてる場合が多いのでスタジオに入ったらその点もチェックしておきましょう。
ONとOFFが独立したスイッチタイプ。
また、RTB(リターントークバック)スイッチも搭載されているためインカムのように限定的な使い方もできたりします。
ただ、最近ではスイッチタイプもAF124のように触れるだけで切り替わるタッチ式が増えてきたので、こういったカチッと押す込むタイプは少ないかもしれません。
こちらは、T字レバーのフェーダーが特徴的なアドギアー製のカフボックス。
ヘッドホン/イヤホン入力が合計3つに、モニターレベル調節や内蔵マイクによるRTB(リターントークバック)機能も搭載。
上部の大きなキューランプが見やすく、プレイヤーにとってはありがたい設計になってます。
収録ブースに入ったら要チェック!
カフにもいろいろな種類があって、ここで紹介したもの以外にも各スタジオごとに様々なカフと遭遇するはずです。
ただ、最低限の操作はON/OFFやモニターヘッドホンのレベル調節くらいなので慣れてくるとすぐに対応できたりしますよ。
ときどき、親切なスタッフさんが使い方を丁寧に教えてくれたりしますが、複雑そうなものは収録前に質問し確認しておくことがおすすめです。
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どんなときに使うのか?
じゃあカフってどんなときに使うと便利なのか?
もともと「cough(カフ)=咳」というように、咳払いをカットする目的で作られていますが、そのほかにも例えば、収録前に声を出したいとき、原稿のチェックやテストをしたいとき、あるいはクシャミやペーパーノイズなど、他人が聞いてて不快だなと思うときはOFFに切り替えておくのがおすすめです。
ずっとブースの音がミキサー側にダダ漏れというのも格好悪いですし、正直プレイヤー側としてもちょっとした休憩時にこれがあると気が休まるんです。
そういう気持ちのON/OFFを切り替える意味でもカフってありがたいですよね。笑
ただ、OFFにしたら収録直前は忘れずにONに入れなおしましょう!
それ以外では、収録時のBGMの有無で自分のかえしの声(モニター音)が大きすぎたり聞こえにくいと感じるケースもあるので、モニター用のレベル調節も意外と使うことが多いかもしれません。
現場によって機材は違えど、操作する部分はそれほど多くないので、どのスイッチがどんな役割をするのかをしっかり覚えておきましょう!
まとめ
収録の際、ON/OFFの切り替え装置としてとても便利な「カフボックス」。
プレイヤーのそばにあって、マイクや原稿と同じくらい大切な役割を担ってくれます。
現場ではじめて目にする人にとっては戸惑うかもしれませんが、今では声優学校やワークショップ、養成所のスタジオ実習で扱う機会も多いんじゃないでしょうか?
僕自身もなんだかんだで教わっていて良かったと思うし、使い慣れておくことが結果的に良いパフォーマンスにも繋がるはずです。
声の仕事を目指している方は、スタジオに入る機会があったらぜひカフボックスをチェックしてみてくださいね!
以下の記事では、マイクの指向性や特性について解説。
うまく声を当てる際にちょっと役立つ豆知識なので、ぜひこちらも参考にしてみてください!
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