みなさんは、「卓立法」という言葉を聞いたことがありますか?
世間ではあまり知られていない聞き馴染みのない単語ですが、声優やナレーター、アナウンサーなど、声を扱う業界では専門用語として知られているちょっとしたテクニックでもあるんです!
実は、日頃からみなさんも卓立法を自然と使っていたりするんですが、スピーチやプレゼンなど、いざうまく話そうと意識するとなぜか棒読みになっちゃいますよね?
今回は、こうした場面で役立つ「卓立法」の解説とあわせて、声の仕事をしている僕なりの視点で、「言葉の立て方」に関するテクニックをご紹介します!
「もっとうまく伝えたい」「うまく話せるようになりたい」
意識してトレーニングするだけで、こうした問題に確実に効果を発揮するのでぜひ参考にしてみてください!
卓立法とは?
冒頭でも少し触れましたが、卓立法とは「言葉を立てる方法」です。
例えば、テレビをつけていれば毎日聴くようなアナウンサーやナレーターの原稿読み。
いつ、どこで、何があったのか?という情報がとても耳に入りやすく理解しやすいなと感じたことはないでしょうか?
そう、相手に何かを伝える場合は、こうした一番伝えたい核となる部分がとても大切ということです。…が、なぜか自分でうまく喋ろうとするとできないんですよね…。
ただ、実はどんな人でも、日常的に無意識に卓立法ができてしまっているんです…!
なので、今回は例文を用いて卓立法を解説しつつ、これを意識的に使えるようになるテクニックを以下で紹介していきますね。
卓立法の具体例
『私は、明日勉強のため書店へ本を買いに行きます。』
こちらの例文ですが、この文章、それぞれの語句を”強調”することで伝わり方がガラッと変わってくるんです!
例えば、「私は」という部分だけが強調された場合、「誰が?=Who」というポイントがよりフォーカスされますよね。
目的として伝える一番大事な部分や、相手が一番知りたいポイントが、「”誰が”行ったのか?」である場合、「私は」を意識的に強調することで、相手により理解されやすくなるということです。
他にも、”なぜ”?を伝える場合は「勉強のため」。 “何”?を伝えたい場合は「本」という具合に。
単純だし当たり前といえばそうなんですが、文章が長くなったり複雑になればなるほどどこが要点なのかがわかりづらくなってくるので、前後の文脈や相手の要望をきちんと汲み取ることも大切になってきます。
自身で文章を考える場合は、短く簡潔に組み立ててみるのも伝わりやすい効果的な方法ですよ!
上達のポイント
仕組みがわかったところで、次に意識的に卓立法が使えるちょっとしたテクニックをご紹介!
卓立法とは言葉を立てる、すなわち”強調”することなのですが、以下でその方法をいくつか解説していきます。
①ボリュームを変える
もっともわかりやすいものだと、伝えたいポイントで声の大きさを変えて喋ることです。
例えば、声を大きくすれば、言葉にテンションがかかりインパクトを与えることができますよね。
これは、普段声の小さい人が、ここぞというポイントでズバッと伝えれば印象がガラッと変わるのでとても効果的だったりします。
そして、その逆に声を小さくすることも一つの強調方法。
誰でも噂話や内緒話をしたことはあると思うんですが、一番秘密にしたいポイントほど周りに聞かれないように声のボリュームを落としてるはずなんです。
いわゆるヒソヒソ声(※専門用語では「ウィスパーボイス」と言ったりします)で伝えると、相手は「え?」となって自然と耳を傾けてくれるので、自分の心の中で「これからとても大事なことを言うよ…!」という前振りをして喋ると効果的ですよ!
②トーンを変える
次に声のトーンを変えてみましょう。声の明るさやピッチを変えることで、音に明確な違いが出てきます。
先ほどの例文で、「”何”を買いに行くのか?」を伝える場合、他の言葉よりも「本」のみを高く明るく表現するとより強調されますよね。もちろんその逆も然りで、高低・明暗の変化で様々な演出ができるんです!
また、楽しい話題のときは明るく高い声、重くシリアスに伝えたいときは暗く低い声の方がより内容に適したトーンになり、話の印象をガラッと変えたい場面転換にも役立つのでおすすめです。
③間をつくる
言葉そのものを強調する方法ではないですが、実は「間」の使い方によって言葉を立てることも可能なんです。
例えば、音楽でもそうなんですが、サビ前に一瞬音が止まる休符があることで、次にくるサビの歌詞や音がとてもインパクトのあるものに聴こえるはず。
強調したい部分があれば、その前に一拍または半拍おいてから喋ると次の言葉がより粒立って聞こえてきます。
一拍・半拍というのはちょっと説明が難しいんですが、イメージとしては一呼吸・半呼吸という具合。もちろん一度区切るようにたっぷり間を取るのもいいかもしれません。
効果的な「間」は、良いリズム感を与えてくれるだけでなく、聞き手の注意をひく効果もあるのでおすすめのテクニックです!
④ゆっくり喋る
それでは、次に緩急をつけた強調のテクニックです。
以下の例文で、太字の部分だけをゆっくり喋ってみましょう!
あなたはだんだんきれいになる。
「だんだん」をゆっくり語ることで、その言葉通り、少しずつ、少しずつ変化していく様が表れ、聞き手にもその変わりようがイメージしやすくなりますよね。
そんなにもあなたはレモンを待っていた。
こちらは、「そんなにも」という言葉をゆっくり丁寧に語るほど、レモンに対する強い執着や「あなた」のキャラクター性が色濃く表現されるようになるはずです。
先ほどの「間」の使い方とあわせて、前後の部分をより強く表現したいとき、内容の核心を喋る際に、とても印象に残りやすい有効なテクニックになります。
ただ闇雲に緩急をつけるのではなく、どこを聞かせるか?を考えながらポイントを絞って伝えてみましょう!
まとめ
- ボリュームを変える
- トーンを変える
- 間を作る
- ゆっくり喋る
というわけで、今回は伝え方がうまくなる「卓立法」についてご紹介しました!
ここまで紹介しておいて恐縮ですが、こうした方法は、原稿読みやスピーチなどに役立てるあくまでもテクニックというだけのことです。
「心技体」の言葉があるように、自分自身の感情やイメージ、それに連動する体や表情の変化も大事にしながら実践してみてください!
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