声優を目指すの多く人が演技や原稿読みにはじめて挑戦するものですが、なかには「棒読み」や「表現力のなさ」に悩むことも多いのではないでしょうか?
以前の僕もみなさんと同じような悩みを持っていたように、自分の声を聞き返してみてもその原因がいまいち掴めなかったんです。
「もっと感情を込めて」とか「伝えて」なんて言われて、抑揚や協調する部分を頭ではわかっていても それがなかなかできないのがすごく歯痒いんですよね。
そこで今回は、こうした問題を克服する一つの解決法を紹介します。
ズバリ、”伝えられる人”になるにはイメージすることがかなり大切です。
実際にナレーターをしている僕もいろいろ試してみたんですが、今のところこの練習がすごく効果的な方法だと思ってます。
というわけで、表現力を鍛えたい声優・ナレーター志望の方はぜひ一度試してみてください。
想像力を活かそう
みなさん、原稿を読むときってどんなことを考えてるでしょうか?
ただ無心で上手に読もう!とか何となく文字を追ってしまっている人、「ここは抑揚を使って…」「語尾は抑えて…」と言った具合にあれこれ理論的に考えがる人が多いかもしれません。
でも、そういったことを考えて発したセリフや言葉って何だか味気ないものになっちゃいますよね?
例えば、「遠くに見える青い空」という文章も、自分自身の中にイメージがないとその空が全く中身のないものに…。
もちろん卓立法とか音を意識することも大切なんですが、自分自身が言葉にイメージをもつことで結果的にこれらができていたりすることがあるんです。
もっと簡単に言うとアプローチの仕方を変える感じです。
なので結論から言うと、伝えるには想像力をフル活用させることなんですが、これだけじゃ物足りない人もいると思うので以下で深掘りして紹介します。
伝えるには共感する
ナレーションにしてもセリフにしても、誰もが伝わる読みをしたいと思っているはずです。
でも、そもそも伝わるってどういうこと?って感じですよね。
ここが根本的にわかると案外難しいことでもないと思うんです。
僕は「伝わる=共感」だと思ってて、どんなに綺麗に文章を読んでも相手に響かないことがあるし、逆に拙くても想いがあれば共感だってしてもらえます。
『ちびまる子ちゃん』のナレーションで有名なキートン山田さんの言葉に、とてもわかりやすく参考になるものがあったのでフォローしておきます。
たとえば僕と同年代の人には向けては、「あの時代はこうだったよな」という想いを強く表現すれば、より色濃く伝わるものがあるんじゃないでしょうか。
そういう思いを込めた語りをすることで、「あの時代はそうだったのか」と納得してもらえることもあると思うんです。
(中略)
逆に言うと、そういう自分の経験の中から出てくる思いを込めた語り口というのは、学校で教えてもらえるものでもないし、何かの本に書いてあるわけでもないんです。
引用:『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』P.227-228 主婦の友インフォス キートン山田
会話でもそうですが、「あの時はこうだったよね?」とか「あそこはこんな場所だよね?」など、イメージが共有できてはじめて相手に共感してもらえるんですよね。
伝える側も聞く側もそこで安心とか興味が湧いてくるはずで、自分の中の想いを強く表現することが納得してもらうための大きな要因だったりします。
おすすめの「伝えるトレーニング」
最近ではAIの技術も発達し機械が喋ることも当たり前になってきましたね。
ですが、まだまだ人間の表現力って機械では到底できない魅力だったりします。
人を促す、訴える、感動させるなど。
以下で紹介するイメージトレーニングを実践するだけでグッと魅力的な話し方が身に付くのでぜひ試してみてください!
ただ読み上げるのではなく、実際にイメージしながら言葉にすることを心がけてみてください。
例えば、「空」という言葉を口にする前に、自分自身が想像する空をイメージしてみてください。
実際に今現在広がっている空を見て言葉にするのもいいですし、これまでに見た印象的な空を一つ強く思いながら声に出してもいいです。
- 色や明るさ
- 形
- 太陽や月
- 雲の数
などなど、広がる景色や感じた周りの音など、時間をかけてでもより具体的にイメージすることがポイントです。
「美しい花」であれば、どれほどの美しい花なのか?
「楽しい時間」であれば、どれほど楽しいことなのか?
普段サラッと流してしまいがちな文章も、言葉一つ一つを丁寧にイメージしていくと全体の印象もガラッと変わってきます。
例文
それでは、実際に以下の例文でそれぞれ3つずつのパターンを想像してみましょう。
一つの例文で3つとなると結構時間がかかってしまうんですが、なるべく似通ったイメージにならないように、そしてこれまでの経験や想像力を活かしてリアルに感じてみると効果的です!
題材は文学作品がおすすめ
なんとなく表現力や想像力の鍛え方がわかったところで、今度はより長文の原稿に挑戦してみるのもありですね。
練習題材には、以下のような情景や心情を綴った小説や詩などがイメージしやすくておすすめです。
『椎の木』豊島与志雄
がけの上のひろい庭に、 大きな椎 の木がありました。 何百年たったかわからない、 古い大きな木でした。 根かぶが張りひろがり、 幹がまっすぐにつき立ち、 頂の方は、古枝が枯れ落ちて、 新たな小枝がこんもりと茂っていました。 朝日がさすと、 若葉がさわさわと波だち、 椋鳥 や雀がなきたてました。 春さきのこと、あたたかいそよ風が吹いて、 この椎の木も笑ってるようでした。
『椎の木』という作品の冒頭部分ではありますが、とても情感たっぷりに読める文章なので、ポイントごとにイメージを膨らませてみるとおもしろいです。
- 庭の様子
- 椎の木の大きさや古びた様子
- 木の周りの様子
- 情景の変化
- 椎の木の表情
これら他にもより細かく鮮明にイメージすることで、より生きた言葉になってくるはずなのでぜひ実践してみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
文章をイメージしていくと、自分自身の五感で感じている感覚になったり心がドキドキしたりしますよね。
相手に伝えるには、まず自分がその言葉に共感することが大切です。
これまでの経験をもとにイメージした世界は、きっと自分にしかない表現なので、ぜひこれからのトレーニングで養ってみてください!
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