”声優の数はこの15年で3倍に増えた”と言われるように、依然として人気を集める職業の一つ。
どんなオーディションがあって、どこの学校や養成所がおすすめか、などなど…。
人気に伴って、近頃ではネットの普及により志望者にとってはこうした情報が得やすくなった時代かと思います。
でも、学校や養成所に入ったら具体的にどんなことを勉強するのかっていまいちイメージがわかないし不安な人も多いんじゃないでしょうか?
僕も同じように”なんとなくのイメージ”だけで実際は「どんなことすんの?」状態だったんです。笑
代表的なものに、「アフレコ」や「発声・滑舌」の授業があったりしますが、もちろんそれだけではないのが声優学校です。
実際に通ってみなければ授業の流れや内容まではなかなか把握できませんよね。
というわけで、今回は実際に専門学校や養成所に通っていた筆者の経験から、こうしたカリキュラムの内容について具体的に紹介していきます!
各学校や養成所の違いがあまりわからないという人も、今後の進路選びの参考になる内容なのでぜひご覧ください。
声優学校・養成所のカリキュラム
まず知っておきたいのが、学校や養成所ではどんな授業があるのか?ということ。
実は、最低限学べる内容は基本的にどの学校・養成所でも同じだったりします。
例えば、声優に必要な発声・滑舌、そして表現力や演技力を磨くレッスンなど。
これらはどこへ行っても学ぶことができますし、授業の名前は違えど内容は同じというケースもたくさんあるんです!
主なカリキュラム
発声・滑舌 | 声優演技基礎 | 俳優演技基礎 | ヴォイストレーニング |
アフレコ(アニメ) | アフレコ (外画) | 舞台演技実習 | 卒業公演(制作) |
ナレーション | 朗読/ラジオドラマ | 歌唱 | ダンス |
サンプル制作 | 事務所説明会 | ブラッシュアップ講義 | 模擬オーディション |
大手の声優学校(2年制)だと、上記のカリキュラムはだいたい網羅しているんじゃないでしょうか。
1年次では基礎的な内容が多く、2年次により実践的な授業や卒業に向けた対策などが組まれているので未経験者でも学びやすい環境が特徴です。
養成所の場合、学校に比べてやや限定的ですが、発声・滑舌や演技基礎、アフレコといったメインどころは必ずといっていいほど学ぶことができます。
では、「これらの授業って具体的にどんなことをするの?」と感じる人がほとんどだと思うので以下で詳しく解説していきます!
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発声・滑舌
授業の名前は「発声基礎」や「アーティキュレーション」など様々ですが、学校や養成所でも最も基礎的なカテゴリーの授業です。
発声に必要な体づくり、呼吸、各音の正しい口の動かし方など、演技の土台作りとなるポイントを中心に指導されます。
【主な内容】
- ストレッチ
- 筋トレ
- 呼吸法
- 発声・発音
基礎とはいえ、講師によってアプローチ方法は様々で、腹式呼吸の感覚を掴むためにリラクゼーションを取り入れたり、ウォーミングアップも兼ねた独自の体操などもあるかもしれません。
また、滑舌の授業だと座学になることが多く、中には生徒一人一人に丁寧にお腹や口の動かし方を説明してくれる講師もいますよ!
演技基礎
演技基礎は、その名の通り役者としての演技・表現力を養うもので、おそらくどの学校や養成所にもこれに似たようなカリキュラムがあると思います。
基礎的な体づくりから発声・滑舌、感情コントロール、さらには台本読解など、「基礎から演じる」までのステップがこの授業の役割になります。
場合によっては、一つの題材を扱った舞台公演までを目標に行われることもあります。
【主な内容】
- 発声・滑舌
- 筋トレ
- 感情解放
- エチュード
- 台本読解
- 演技指導
- マイクワーク指導
- ストレートプレイ
学校や養成所によっては発声や呼吸法を兼ねた授業だったりするので、はじめのうちはかなり肉体訓練が多いかもしれません。笑
声優演技基礎の場合は、マイクワークや台本の扱い方。
俳優演技基礎では、舞台での立ち回りなど。
授業が進むにつれて、それぞれの分野にあわせた指導になるかと思います。
ヴォイストレーニング/歌唱
ヴォイストレーニングは、呼吸法や発声方法についてのレッスンですが、内容によっては「歌うこと」を目的としたものが多いです。
喉に負担のない声の出し方や、音程やブレスの取り方、さらには歌詞をどう表現するかといったことまで学ぶことができます。
最終的には1つの楽曲を一人、または数人一組で発表する機会もあるかもしれません。
【主な内容】
- 呼吸法
- 発声・発音
- 息継ぎ・ブレス
- 歌詞読解
- レコーディング
アフレコ
基礎レッスンの次のステップとして用意されているのがアフレコ(アフターレコーディング)の授業。
ほとんどの養成機関で実施される声優を目指す上で代表的なカリキュラムと言っていいかもしれませんね。
「アニメ」と「吹き替え」で表現のアプローチ方法が異なるため、最近ではそれぞれのジャンルに分けて行われることも多いです。
【主な内容】
- 台本読解
- マイクワーク指導
- 演技指導
- レコーディング
作品内容を読み取り台本のト書きやセリフの解釈といったことから、マイク前での正しい動作、そして映像に合わせて喋る技術など。
声優としての実践的なスキルを磨くレッスンとなっています。
僕が経験したアフレコ授業では、年間を通して数本の作品を扱いそれぞれのキャラクターの性格や役割などを考えることが多かったイメージです。
そして、キャスティングされたら一人のキャラクターをさらに深掘りしていくことに。
声優学校の授業全般に言えることですが、チームを組んで取り組むことが多いので、自分だけでなく仲間内での練習もとても大切になってきます!
後期では、卒業公演(制作)に向けた課題を取り扱うことが多いかもしれません。
舞台演技実習
演技基礎の発展的な内容で、2年次に受講できるものが多いでしょう。
基礎で学んだ発声や体づくり、感情の表現方法をもとに、チームで一つの作品を作り上げることになります。
また、大道具や小道具、衣装、宣伝といった舞台制作全般を学ぶことができるのも大きな特徴です。
こちらも、一つの作品通して仲間同士で練習する機会がとても多い授業です。
- 台本読解
- 読み合わせ
- 演技指導
- 舞台制作
- 舞台公演
卒業公演(卒業制作)
多くの学校や養成所では、その年度の卒業生を対象にした舞台発表のカリキュラムが用意されています。
発表の形式は、収録作品の上映、ライブ公演など様々ですが、学校内だけでなく外部の関係者や一般向けとして公開されることが多いので、入学希望者にとっても学校選びの参考になるイベントだったりします。
ある特定の授業の中で数ヶ月にわたって準備やレッスンが行われることが多く、在校生にとっては一大イベントと言える行事かもしれません。
【主な内容】
- レコーディング
- 舞台公演
ナレーション/朗読/ラジオドラマ
ヴォイストレーニングや立ち稽古など、身体を動かすことの多い声優学校のレッスンにおいて数少ない基本座学で行われる授業です。
実際の現場でも座って行うことが多く、発声といった基礎的なことよりも、表現のニュアンスや抑揚といったテクニックを中心に指導されることがほとんどです。
映像もなく身体を使った表現もできないからこそ、”声だけで伝えられる技術”を養うことができます。
- 発音
- 台本読解
- 卓立法
- 演技指導
- レコーディング
ダンス
最近ではダンスレッスンを取り入れるところも増えてますが、声優を目指す上ではダンススキルはもちろん、体力づくりや筋力アップ、リズム感の向上を目的としたものがほとんどです。
ヒップホップやロックダンスなど、講師によって扱うジャンルは様々ですが、まずは上手に音を取れる感覚を身につけることが大切になってきます!
【主な内容】
- ストレッチ
- 筋トレ
- ウォームアップ
- 振り付け指導
- ダンス発表
ダンス未経験者の場合、かなり苦戦するレッスンだったりします。笑
曲を覚えるだけでなく振りやポジションの確認と、意外と頭を使うことが多かったり、翌日筋肉痛になるくらい身体を動かすハードなレッスンなので、定期的な自主的にトレーニングを行うことがおすすめ。
一見すると「声優」とは無関係と思うかもしれませんが、頭と身体の瞬発力を養う上ではかなり大切な授業だったりします。
オーディション対策カリキュラム
声優学校では、基本的に資格取得もなければ卒業後の進路が確約されているわけでもありません。
そこで、卒業後の進路を決めるためのオーディション対策カリキュラムが組み込まれていることがあります。
業界関係者に売り込む「ボイスサンプル制作」や「宣材プロフィール作成」、業界知識を養う「プロダクション説明会」、オーディション時のパフォーマンスを上げる「ブラッシュアップ講座」「模擬オーディション」など。
名称は様々ですが、実績ある学校はこうしたサポートが充実しているところがほとんどなので、入学を検討する際もぜひ参考にしてみてください!
【主な内容】
- プロフィール作成ガイダンス
- ボイスサンプル収録
- 宣材写真撮影
- プロダクション説明会
- ブラッシュアップ講座
- 模擬オーディション
ときには、プロダクション関係者や人気声優を招いて業界話や実用的なアプローチの仕方を聞けることもあるのでかなり貴重な体験になります。
ですが、人気が殺到し受講人数が定められていることがほとんどなので、常に学内情報をチェックしておくことがおすすめです!
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なかには特殊な授業も!
ここで紹介した以外にも、学校や養成所によって多種多様なレッスンが用意されていたりします!
例えば、青二プロダクション付属養成所の青二塾では、礼儀作法や表現力を高める「日本舞踊」を行うことで有名ですね。
アミューズメントメディア総合学院では、正しい言葉づかいや電話・メールマナーを身につける「ビジネスマナー講座」。
賢プロダクション付属のスクールデュオでは、稽古場を離れて数日間の「夏期集中合宿」が行われたりしています。
こうした独自のカリキュラムも毎年声優志望者から人気を集める理由の一つなので、それぞれのカリキュラムの違いを探してみるのもおすすめです!
まとめ
声優を目指す場合、最低限学ぶべきカリキュラムはどこも同じだったりするけれど、実は講師や学校・養成所の方針によってアプローチの仕方は様々です。
「演技のレッスンなのにこんなことまで?!」とか「先生によって厳しさがまるで違う!」なんてことも感じるかもしれません。笑
学校・養成所を選ぶ際に、人気や実績ももちろん大事ですが、「どういった声優を育てていくのか?」という教育理念やカリキュラムの違いに目を向けてみるとさらに特徴が見えてきます!
ぜひ、納得いく進路が見つかるまで授業内容を分析してみてくださいね。
あわせて、こちらの記事では学校・養成所の雰囲気について僕の体験も交えて紹介してます!
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