昨今では、全国に約30万人の声優志望者がいると言われるように、昔に比べて”声の仕事”に興味を持つ人は非常に多くなりました。
アニメやゲームに映画、最近ではYouTube動画などを通じてその魅力に憧れを持つ人も多いかもしれませんが、過去に僕自身も声優を目指していて実感したのは、楽しいことや嬉しいことよりも圧倒的に辛い経験の方が多いということでした。
今では、ネットを介してそうした情報も幅広く知ることができますが、やはり自分自身でそれらを経験し実感するまでは本当の魅力や怖さはわからないと思います。
そして、ここぞというときに自分を助けてくれるのは自分自身なのかもしれません。
そこで今回は、これから声優業界に飛び込む人たちに向けて僕自身が実際に声優学校や養成所で教わった心構えについて紹介していきます。
ちょっとしたことですが、辛いときや苦しいときこそこうしたことを覚えておくと夢に一歩近づけると思います。
夢を叶えるための心構え
動機
学校や養成所へ通えば、日々のレッスンや人間関係をはじめとした様々な悩みを抱えることがあります。
ときにはレッスンやオーディションで成果が出ない日もあれば、日々の生活でお金がなく時間に追われる日もしょっちゅうです。
そうした理由から多くの人が夢を諦めてしまいますが、もし自分が挫折しそうになったときには”初心の気持ち”を思い出すことが大切です。
「なぜ、自分は声優を目指しているのか?」「どんな憧れを持ってこの道に進んだのか?」など、動機を改めて思い出すことできっと辛いときでももう一踏ん張り頑張れると思います。
なんだかんだで「今の自分は好きなことができて悩んでいる」と感じると、その辛さも大したことではないかもしれませんよね。
「やりたい」と思った時点で、もう夢は50%は叶っているものです。あとは具体的にイメージし、強い意志を持って努力し続けることが何よりも大切なのではないかと思います。
出典:『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』p.42 潘恵子 出版:主婦の友インフォス
準備
昔に比べて声優の仕事の幅は広がったとはいえ、現在はタレントの数も非常に多いため一人当たりにくる仕事の数は少ないのが現状です。
とくに若い頃は仕事やオーディションがいつ入ってくるか読めない部分が多いので、仕事のない日が続いていたとしても仕事ができる準備はいつでもしておかなければいけません。
一回一回の現場がとても大切になってくるので、スキルアップや体調管理はもちろんメンタルの維持もかなり重要です。
これは僕の持論ですが、必要な準備をきちんとしていれば、特に若い頃、神様は誰でも平等にチャンスを与えてくれる与えてくれるものだと信じています。そこで大切なのは、目の前にやってきたそのチャンスを逃さず確実につかむか、気付かずに見逃してしまうか、ということです。
出典:『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』p.181 著:岩田光央 出版:中公新書ラクレ
積極性
緊張や失敗をすればどうしても消極的になって、発言できない、動けない瞬間があるかもしれません。
しかし、僕が出会ったどの講師も同じようにアドバイスをしたことは「積極的になれ」ということです。
結局のところ、役者を目指すなら失敗しても”やった者勝ち”なところがあって、それをきっかけに名前を覚えてもらえたり注目されるきっかけになるかもしれませんし、経験値を積むこともできますよね。
失敗は、挑戦する勇気を持った人にしか経験できないことです。
何より引っ込み思案はよくない。「前に、前に」という気持ちをもって、プラス、コミュニケーション能力があると、役者として仕事がしやすくなるんじゃないかなと。
出典:『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』p.238 置鮎龍太郎 出版:主婦の友インフォス
諦めることの正しさ
声優を目指していれば、「弱気はダメ」「絶対に諦めない」といった思考になりがちですが、今後の人生を改めて考えて声優を諦めるのも決して間違ったことではないです。
人は、成長もすれば考え方も変わり、誰もが同じような人生を歩むわけでもないですね。
キャリアが長くなればなるど責任も伴いますが、後悔がないように納得できる毎日を過ごすことが大切だと思います。
僕は役者に限らず、”世界は失敗してもいいようにできている”と思います。僕も一度は大失敗しましたが、自分のために頑張り続けていれば、きっと誰かが見てくれていて、どんな失敗もいつかは取り戻す機会に恵まれると信じています。
出典:『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』p.72 鈴村健一 出版:主婦の友インフォス
言葉の大切さ
声優やナレーターは特別な仕事と思う人もいるかもしれませんが、極端なことを言えば、喋ることができれば誰でもできてしまう仕事でもありますよね。
だからこそ、声の仕事を目指す人たちは、日頃から喋ることに意識を向けることが大切だと思います。
言葉には「言霊(ことだま)」が宿ると言われるように、人生の良いことも悪いこともすべて自分の中から生まれてくるのだとすれば、この習慣は芝居だけでなく今後の人生にもきっと役立つことだと感じています。
例えば家族に「おはよう」と言うときに、ただ口先だけで挨拶するのと、今日も一日元気に朝を迎えられて幸せだねっていう気持ちを込めて言う「おはよう」は、ぜんぜん違うじゃないですか。「ありがとう」でも「おいしかった」でも、そうやって愛情をたっぷり込めて言うこと。日常生活の中で起こるいいことも悪いことも、しっかり受け止めていくこと。そういう経験を、いつかお芝居に生かしていけたらいいですね。
『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』p.153 井上喜久子 出版:主婦の友インフォス
まとめ
声優に求められることは時代とともに変わり続けていきますが、それでも人と人とが関わりあう仕事に違いはなく、常に求められるのは基本的なことや人間的な魅力だと思っています。
そして、成功や失敗の経験も乗り越えた数ほど”演技の引き出し”になるはずなので、ぜひチャレンジし続けることで成長に繋げてください。
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